OPAMP道

オペアンプはどこで売っていますか?という問い合わせをよく受けるようになった。
いくつかの入手先を紹介しよう。まずは直接販売している部品屋さんである。
東京の秋葉原の株式会社秋月電子通商、千石電商がある。いわゆるディープエリアにあって2店は同じ通りに並んでいるので便利だ。新日本無線の「MUSESシリーズ」が手に入るのは株式会社秋月電子通商だけである。
その他にオペアンプを扱っている秋葉原地区の有名な店舗では、ラジオデパート内のサンエレクトロ、またはラジオ会館(工事中で隣のビルに一時移転中)の若松通商である。
しかしどの店もオーディオに特化して品種を選んで置いるわけではなく、一般的なものを置いているだけである。お目当てのものがあればよいが、「LME49990」、「LT1115」や「OPA627」などを見つけるのは難しい。
また、ラジオセンター内の三栄電波(www.san-ei-denpa.com)にはotomatsuのヘッドフォンAMPキットが置いてあって、そこにはotomatsu推薦のオーディオに特化したオペアンプが置いてある。(※NETでも購入可能)

実店舗でなくてもなんでもそろっているのは一体どこであろうか?
それはインターネットの部品屋さんである。お勧めはDigiKeyまたはRSコンポーネントである。品揃えはおそらく世界でもトップクラス、クレジットカード又は代引きで購入できる。価格はそこそこで7000円以下は送料もとられるがすぐ送ってくるので便利である。もちろん1個から個人でも買える。1つの品番でも種類が沢山有り、あまりの種類の多さにちょっとした型番の末尾の記号を間違えたりすると、異なるものが送られてきてしまうので、ケアレスミスをしない様にデーターシートをよく調べてしっかり間違わぬように、購入しないといけない。そういった意味では上級者向きかも知れない・・・後はYahooなどのオークションで売っている個人のものを探す方法もある。品質などは自分で判断してほしい。

最近の閲覧者様からの質問で、「オペアンプを交換して音が良くなると、かえってMP3などの圧縮オーディオの音質が悪く聴こえるのでは?」という質問があったので回答しよう。確かに良いオペアンプを交換すると音が良くなるのは確かで、その分元音の「アラ」が見えてくるということがある。これは性能が良くなった証拠で、こういった今までの音が悪く聞こえてくるという経験を繰り返し、だんだんとオーディオシステム全体の音質が向上していくのだと思う。
ヘッドフォンアンプが良くなればヘッドフォンの「アラ」が見えてきて、更によいヘッドフォンを求めるようになる。そうすると元音のFILEの音の「アラ」が見えてきて、もっと圧縮率を下げたり、WAVにしたり、または96kHzや192kHzにしていくのだ。またMP3は全部音が悪いという先入観にとらわれていることも問題であろう。音が悪いのはMP3のせいではなくそのFILEを作ったエンコーダやリッピングSWやPCのせいかもしれないし、また元々の録音がそもそも良くないのかもしれない。さまざまな可能性を想定し一つずつ、潰していって初めて良い音にたどりつくのだと思う。

オペアンプは手軽に交換して違いが楽しめるのでどんどんトライしていけば、いろいろなものが見えてくるだろう。
さらに今回はオペアンプの発熱について少し見てみよう。良いオペアンプほど電気を食う、つまり熱くなるのだ。1回路入りの高性能オペアンプは約10mAの電流が流れる。+/-15Vで使っている場合は300mWという電力消費になって、これはLED約10個分に相当する。パッケージの表面温度は40℃くらいになるがこれでも壊れないような設計になっているので心配はいらない。中のチップはもっと熱い、約70℃くらいだろうか。熱いと電気的特性も最良の条件ではなくなる。普通の用途ではこれでも特に音質に影響はない。これを少しでも下げてやれば、より信頼性が上がり出力のドライブ力の性能も安定するのだ。

CANパッケージというものがあって、全体が丸い金属のCANでできているがこれは中のチップの熱をよく外に逃がすことができるので有利だ。CANパッケージは触るとかなり熱いのでちょっと疑問がわくが、これは内部の熱をよく外に逃がし、中にこもらないようになっているので、かえってプラスティックパッケージより熱くなるが、特に心配はいらない。プラスティックパッケージでも図のような小さな放熱器を取り付けると温度が下がって良い結果となる。前述の千石電商で入手できる。アロンアルファなどの接着剤でとりつけてみて試してみるとよいだろう。特にFET入力のOPA2604, OPA2134, OPA627などは入力部のFETのゲートリーク電流が下がって性能が向上する。

CANパッケージ

オペアンプ専用放熱器

取り付けた様子

 
米国テキサス州の半導体会社にて長年デジタルAVのLSIの企画開発やマーケティングを担当。はじめて使ったオペアンプはRC4558で、学生時代のエレキギターエフェクターは自作だった。アナログからデジタルまでの幅広い知識と経験を生かし、現在は各種オーディオコンサルティングやアンプの設計製作に専念。ハンドメイドオーディオ工房"オーロラサウンド"所属。趣味はギター演奏。