OPAMP道


秋も深まってきました、各地で紅葉が美しい色を奏でています。オーディオの季節です。
今回は"eDison-01"という真空管とOPAMPのハイブリッド構成のDACです。NewToneはWiseTech社の新ブランドです。ヘッドフォン出力もついており、ボリュームもありますのでプリアンプとしても使えます。入力はSPDIFコアキシャル(96kHz24bit)、USB(48kHz16bit)デジタル光入力にアナログ入力としてCDとAUXがありますのでほとんどの音楽ソースに対応しています。出力はRCAラインレベルでOPAMP出力と真空管を通した出力がありますので好みに合わせて選択できるようになっています。価格24,800円税込ですのでローエンドのカテゴリーに入ると思いますが、中をあけてびっくり!これで24,800円?!と驚くくらいの内容です。



かなりしっかりした作りです。コストを抑えつつまた品質の安定と信頼性確保のためにも十分な配慮がなされています。おそらく中国生産ではないかと思いますが最近の中国製は素晴らしい進歩を遂げているようです。iPhone5やiPadは今や全部中国製ですからね。
特に目がつきましたのはヘッドフォンアンプ部です、ここは新日本無線のMUSE8820を投入しています。写真では型番が光って見えないのが残念です。また日立製のバイポーラトランジスタをコンプリメンタリバッファとして使い出力のドライブ力を上げています。また各部のフィルムコンデンサは西ドイツのWIMA製、電源トランスは漏れ磁束の少ないRコアです。入力セレクタスイッチはリレー制御です。肝心の真空管は中国製の6N3という双三極管です。これは三極管が2つ入ったタイプです。振動で向けたりしないようにしっかりとホルダーで固定されています。真空管ソケットはタイトソケットと呼ばれる白いセラミックです。こういった細部にコストを削減せず良いものを使っていますので信頼できる設計と感じました。

このAMPは多機能ですからカタログを見ただけでは全貌がなかなかつかみにくいのでブロック図を書いてみました。結構複雑であることがわかります。デジタル部のLSIのメーカーや型番はLSI表面を黒く塗ってあったため不明ですが構成からみておそらく旭化成かウオルフソンではないかと思います。



次にこのeDison-01の使用例を考えてみました。いろいろな機器を接続することができるのでちょっとしたミニオーディオセンターになります。



また出力波形を観測してみました。とてもきれいな方形波です、リンギング、オーバーシュート、波形のなまりが全く見られません。約10kHz 1Vrmsのサイン波と方形波。 上がOPAMP OUT,下が真空管OUTの波形。真空管OUTは若干ゲインが大きいようです。
では音を聴いてみましょう。使用機器はヘッドフォン シュアーSRH-1840、CDプレーヤ TASCAMの CD-500、PCはMaccBook-ProにAudivana、パワーアンプはLUXMAN M-7、スピーカーはB&Wの802Dです。とても好感のもてる音です。癖がなく長く聞いていても疲れません。どんどん聴きたくなります。あらさがしを使用と思いましたが聴いていて気持ちがよいので途中でやめました。真空管出力は音に厚みがあります。包まれるような快感です。OPAMP出力は解像度が高くメリハリがきいています。両出力とも非常にSNが高いようです。ボリュームを最大にしてもスピーカーからは何のノイズも聴こえてきません。良い回路構成とリジッドな作りが安定した動作をしているようです。次にヘッドフォンに変えてみました。この価格帯とは思えない熱い音です。なぜ24,800円でできるのでしょうか?
セレクタSWが少し固めだとか、細かいところはいろいろありますがそんなことを全部忘れさせてくれて十分満足できる製品です。
 
米国テキサス州の半導体会社にて長年デジタルAVのLSIの企画開発やマーケティングを担当。はじめて使ったオペアンプはRC4558で、学生時代のエレキギターエフェクターは自作だった。アナログからデジタルまでの幅広い知識と経験を生かし、現在は各種オーディオコンサルティングやアンプの設計製作に専念。ハンドメイドオーディオ工房"オーロラサウンド"所属。趣味はギター演奏。